岩瀬氏による3月22日プラニツァ個人戦レポートです。
「6人抜きで連続のシングル順位」
どことなくチームキャビンは、静かだった。
今季のプラニツァ(スロベニア)は改修されたばかりの新設のラージヒル台。
葛西選手、前日20日の公式トレーニングは1本も飛ばなかった。
あえて、ジャンプを飛ぶ必要はなかった葛西紀明(土屋ホーム)。やはり、五輪明けのW杯終盤戦2月26日にファルン大会(スウェーデン)の着地で雪にひっかかり、インサイドに故障した右膝と、そして以前からの腰の痛みが気になっていた。
「痛み止めを飲んで何とかしていますから…」
ただ、そこに悲壮感はなかった。
クラニスカ・ゴラの街はずれ、すこぶる落ち着く定宿のペンションにて、あくまで日々の練習におけるルーティーンワークをこなしながら、じっくりと自分を見つめ直す。そしてチームの後輩たちを可愛がりつつ、メンタルを高め上げていた。
試合は、横サイドから強く吹きつけるいびつな風により、女子のトレーニングが2本目前半の途中でキャンセル。中断、その後を受けてのスタートとなった。
1本目は、風の影響もあってか128.5mの12位に沈む。
しかし、無欲でのぞんだ2本目。一躍135.5mのビッグジャンプを記録して、なんと6位にまで浮上した。いつものシングル順位だ。
「ちょっとくらい痛んでも、結果はジャンプアップのひとケタ、いいでしょ(笑)」
これぞ、レジェンドカサイ、真骨頂!
しかもテレマークを入れている。が、右膝に手を置きながらで、顔がゆがむ。
激痛が走る、右膝。
その姿は、フィニッシュエリアを駆けまわる熱心なテレビカメラによってヨーロッパ中に放映された。
できることなら、明日の団体戦をはさんで、ラストになる残り1試合、今季をまっとうしていきたい。そうなることがトップ選手の本望。
優勝は2本ともに137.5mを飛んだ、この終盤戦に絶好調のフロイント(ドイツ)だった。
W杯第28戦 プラニツァ大会(スロベニア)
1本目128.5m ウインド‐1.30 135.9(12)
2本目135.5m ウインド‐0.54 140.9(5) Total 276.8 第6位
個人総合1017点 第4位
文・写真/岩瀬孝文
Photo & Text: Yoshifumi Iwase
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