2月22日。ジャンプ団体戦、葛西・伊東・栃本・竹内の4名で挑んだこの試合。各選手とも素晴らしいジャンプを見せ5位入賞を果たした。岩瀬孝文氏からのレポートで振り返る。
撮影:岩瀬孝文
「ようやく2本そろえることができました…」ほっとしたのか、そう小さな声で応えてきた葛西選手。
133.5mに140mちょうどの飛距離で、どちらも無風をものともしないジャンプ、まるで空中を切り裂く鋭いジャンプで団体戦アンカーの重責を果たした。
チームでは最年長として若いメンバーふたりを勇気づけ、少し心がつらくあった伊東とは「大丈夫だよ」とぎゅうっと抱き合って彼を安心させた。
そこまでチームのことを思う選手は他にいるだろうか。
メダルはほしい、しかしそれよりも大事なもの、ジャンプを通して得られる貴重なものを葛西はメンバー全員に伝えたかった。
「いつも思い切り飛ぼう」
「いまやれることをしっかりやろう」
「いい飛距離はその上でついてくる」
その説得力ある思いと行動はどれだけ若い選手の胸に響き続けたことか。
ラージヒル団体戦は第5位に終わった。しかし、それはとても価値ある5位だった。
試合終了後、晴れ渡るウィスラーの空に選手4人みんなの安堵の表情が見られた。
心安らかなその中心に葛西がいた。
2本目のスタートに向かうリフトになかなか乗り込まず、じいっと遠くのランディングバーンを見つめ、動かないこと5分。その強い思いをこの団体戦2本目にすべてかけよう、そしてこれがもしかすると、葛西のラストジャンプなのか?
そこまで思いつめたような静かな5分間だった。
「いや、まだやります。とことん飛びます」ジャンプが終わったとたん、これだもの。
なんだよー、感傷にひたってしまったじゃないか。
まあ、それが葛西選手なんだよね。これからもどんどん飛んでくださいな。
彼はいつものとおり最後まで応援してくれた人たちに「ありがとう」と言葉をかけ、笑顔でサインして握手したりで、感謝の気持ちをあらわしていた。
快晴がとてもまぶしく、その姿はとても微笑ましかった。
まだコメントがありません
〒060-0809
北海道札幌市北区北9条西3丁目7番地 土屋ホーム札幌北9条ビル
土屋ホームスキー部 宛て
宛名は、選手名でお願いいたします。
コメントを残す