スキージャーナリストの岩瀬氏から世界選手権の現地レポート2です。
IWASEレポート その2 写真/文 岩瀬孝文
『風、吹かず、憤慨もせず』
コーチボックスのフラッグがゆっくりと振りおろされた。
ああ、やはり。
風が逆風であるとき、不利なときに“けれども頑張って飛んでくれ”というコーチの合図がそれだった。
撮影位置からも、横川コーチがゆっくりと、それでいて手首に力の入った旗の軌道が、その緩やかな振りおろしが見て取れた。
感じるまま、この風はありえなかった。
なぜ葛西紀明のときに、この風でスタートのグリーンボタンが押されるのが不思議でならなかった。なぜ、待たせない、どうしてここで出す!
コーチの無念さが十二分に伝わってきた。
葛西は「くそ~」と思いながらもサッツを切る。
「ああ、やっぱりか」
空中でいくらかの修正を試みるが、いかんせん、風はうしろから。
前日の公式練習で90m超えをバンバン見せていたのが、86.5mでぼたりと落とされる。
ゆうに1本目で終しまいであった。
彼がいうところの風が…。ではあるが、これこそ本人言わずとしても、なんだよこの風は、である。写真を撮っていて久しぶりに憤りを感じた。
実はスタート前にハウスで止められ、いきなりスーツチェックが行なわれていた。
それもメダル候補の葛西紀明を狙うかのように?
おおいに集中しているところに、なぜ?である。ここで、いきなり、なんで?
なにか、おかしな意図が動いているのだろうか。
そういえばレジェンドの敬意がまったくスウェーデンではみられない。というのも、ここにはジャンプと複合の選手がいない。得意とするクロスカントリースキーさえ強ければいいという歴史的な背景がある国だ。
ノーマルヒルの優勝はノルウェーの伏兵ベルタ!?
会場はオスロから400kmの距離、観客席はそのノルウェーの大応援団に占拠されて、スウェーデンから受けていた昔の畏敬を振り払うような暴れ具合、したい放題である。
ていねいにシューズのひもを外し、淡々とスキーをたたむ。そして、あまり多くを語らずに、無念さを少しだけにじませながら、葛西は、静かに、シャンツェを去った。
そこに笑顔なんかはいらない。次だ、次である。ラージヒルこそ!!
夜の21時過ぎから始まったメダルセレモニーでは、にこやかな表情で伊藤有希が登場、銀メダルと副賞の赤馬をもらった。
晴れやかに堂々としていた。そうだ、世界選手権2回目の表彰台か、だからもう、落ち着いた物腰なわけだ。
では、有希、もうひとつのメダルをもらおうか、ミックス団体で。
〒060-0809
北海道札幌市北区北9条西3丁目7番地 土屋ホーム札幌北9条ビル
土屋ホームスキー部 宛て
宛名は、選手名でお願いいたします。
男子ノーマルヒル
ううーん、なんとも悔しい…
こうしてレポ読ませて頂いて、本当に地団駄踏みたくなるくらいです( `ー´)ノ
でも、葛西監督はいつもこうして苦境、逆境乗り越えて来たんでしょうね。
しかし、ほんと、悔しいです。