Iwase Report その2をお届けします。先日アップしたリレハンメル取材レポートの続きです。
1本目3位から表彰台を狙いに、狙っていった得意のリレハンメル。
ここで行なわれた1994冬季五輪、そのラージヒル団体戦で勇躍のジャンプで魅せて銀メダルを獲得していたカサイである。
金メダルをほぼ手中に収めながらの悔しさ。
遥かなるときを経てのリベンジとは、大げさなのか、いや、ほんの少しだけは、そのような感情にも包まれて。
そこに緊張がなかったといえば、それは嘘であろう。
いくぞと心に誓った2試合目の2本目。
わくわくしながら待つ、スタート台。ふうと呼吸を整え、スタートを切る。
ところが、後半のここ特有、吹き上げの風がない。
「絶対にトップに立ったと思ったんですよ」
自信があったのに…、チームの後進、伊東に抜かれての4位。
表彰台を逃す。
1試合目は無情な風の中、10位に終わっていた。
であるだけに、相性の良い台、リレハンメルで狙うポディウム、表彰台。
「浮きますよ、飛べるんです」
グライダーのように低く鋭く伸びていくジャンプが、そこにあった。だけども第4位。
しばらく悔しさに包まれていたが、ファンであろう地元の子供達が、ノートにサインをせがむと、ハイ、わかったよ、君からね~と、いつものように丁寧にサインを記している。
そしてキャビンに帰る頃には、同じように子供達にサインをしていた、前年個人総合優勝のシュリーレンツアウナー(AUT)に「すごいですよ、カサイ」と敬意を表されたハイタッチをひとつもらった。
カサイ、まんざらでもない様子、それが背に見てとれた。
「きょうは悔しいぞ、コノヤロ、にっくきダイキめ!(笑)」
レジェンドだ、そこに一人のW杯レジェンドがいる。
大丈夫、ジャンプの神様はきっと、カサイを見ていてくれる。
だから、シーズン中の表彰台、それも必ずやってくる。
そのときを信じよう。
Photo & Text:岩瀬孝文
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